その見積もり大丈夫?特殊清掃の“よくあるトラブル”5例と正しい業者の見分け方

見つかるまで時間が空いた場合に必要となる特殊清掃と、失敗しないための基礎知識

自宅で孤独死が起き、発見までに間が空いてしまった場合は、特殊清掃が欠かせません。特殊清掃は作業量が多く難易度も高いため、誰でも簡単に対応できるものではありません。

業者へ依頼しても、知識や経験が十分でないと満足いく原状回復に至らず、思わぬトラブルに発展することがあります。

この記事では、特殊清掃で実際に起こりやすいトラブル事例を取り上げます。あわせて、適切な業者を選ぶ際のポイントも解説しますので、初めて依頼を検討している方は参考にしてください。

 

特殊清掃業者の主な業務とは

まず、特殊清掃業者の仕事内容を押さえておきましょう。

対応範囲は大きく五つに分けられ、汚染物や体液汚れの除去、消毒・消臭、害虫の駆除、体液が付着した壁や床の解体・リフォーム、そして遺品整理が含まれます。

目的は、入居時と同等の状態まで原状回復することにあります。遺体からは強い死臭が発生するため、においの原因を根本から取り除かなければなりません。作業には時間を要することがあり、原因が壁やフローリングにまで染み込んでいる場合は解体を伴うこともあります。状況によってはリフォームまで必要となるため、業務内容は多岐にわたります。

 

特殊清掃で気をつけたいトラブル5選

注意すべき代表的なトラブルをまとめました。作業内容だけでなく、悪質業者による被害もあるため要注意です。

💰 予想外の追加料金
見積もりにない費用を後から請求されるケース。
🛑 貴重品の盗難
遺品や金品を持ち去られるリスク。
📦 必要品の誤処分
大切な遺品まで処分されてしまう恐れ。
🚮 不法投棄
回収品を不法投棄し、依頼者に責任が及ぶことも。
👃 臭いが残る
脱臭が不十分で悪臭が再発する場合あり。

作業内容そのものが原因で問題が起こる場合もあれば、悪意のある業者がいるケースもあります。こうした点に留意しておきましょう。

 

追加料金の請求

特殊清掃の現場では、当初の見積もりに追加費用が発生することがあります。作業量が想定より増えれば上乗せが生じる場合もありますが、なかには追加請求を前提にしている悪質な業者も存在します。

多くの方は見積書を確認したうえでその金額で発注しますが、わざと相場より低い金額を提示し、作業後に大幅な追徴を行う業者がいるのも事実です。明らかに相場から外れた安価な見積もりを示された場合は、注意が必要だと考えておきましょう。

盗難リスク

貴重品の盗難が発生するケースも一定数あります。特殊清掃が必要な現場は臭気が強く、家族であっても室内に入りづらい状況になりがちです。そのため監視の目が届きにくく、万一窃盗があっても気づきにくいのが実情です。

多くの業者は誠実に対応しますが、目の届かない場面での不正は防ぎにくい側面があります。依頼にあたっては、実績のある業者を選定することが重要です。

必要な物まで処分されてしまう

特殊清掃業者は遺品整理を併せて請け負うことが多く、同時に依頼するケースも珍しくありません。遺品整理で発生した廃棄物は回収してもらえますが、「処分してよい物」と「保管してほしい物」の線引きが不十分だと、必要な品まで捨てられてしまう恐れがあります。

一度廃棄されると再発行できない物もあるため、依頼時は慎重な指示が欠かせません。

故意に処分されるわけではありませんが、最終的には担当者の見極めや技量に左右される部分でもあるため、意思疎通を丁寧に行いましょう。

回収品の不法投棄

遺品整理で引き取られた不用品は本来、適切に処分されますが、なかには不法投棄を行う悪質な業者も存在します。

処分には費用がかかるため、不法投棄を前提に相場より安い見積もりを提示するケースもあります。不法投棄が発覚すると、かつてその品を所持していた本人が訴えられる可能性も否定できません。自分に落ち度はないつもりでも、知らぬ間に犯罪に関与してしまう恐れがあるため、口コミなどを確認し、優良な業者を選ぶようにしましょう。

臭いが残るケース

特殊清掃後でも、臭いが原因でトラブルに発展することがあります。作業直後は問題なくても、日が経つにつれて徐々ににおいが戻る場合があります。目に見える範囲だけを処理しても、原因にまで手が届いていなければ再発してしまうからです。

死臭はそれほど根強いため、臭い残りを防ぐには、十分な知識と経験を備えた業者へ依頼することが重要です。

 

トラブルを避けるための業者選びのポイント

特殊清掃業者を選ぶ際は、以下の5点をチェックすると安心です。

🔍 口コミや実績を確認
実際の利用者の声や施工実績をチェック。
📑 明確な見積もり
内訳が詳細に記載されている業者を選ぶ。
🛠 作業対応の確認
脱臭・消毒・遺品整理など依頼内容に対応できるか。
🤝 担当者の対応
説明ややりとりが丁寧かを見極める。
🎓 資格保有を確認
事件現場特殊清掃士など資格を持つ業者は信頼度が高い。

 

口コミと実績を確かめる

特殊清掃業者は、事前に口コミや施工実績をチェックしたうえで選定することが大切です。

利用前に客観的な判断材料を得る手段は限られているため、この確認は欠かせません。公式サイトでの掲載情報に加えて、口コミサイトや地図アプリの評価も併せて確認することをおすすめします。

見積もりの内容が明確か

見積書をあいまいにする業者には注意が必要です。金額が大ざっぱだったり、内訳が記載されていないなど不備が目立ちます。

内容を丁寧に説明してくれない業者は悪質である可能性が高いため、避けるのが無難です。

希望する作業に対応できるか

特殊清掃業者ごとに対応範囲は異なります。状態が重い場合にリフォームまで対応してもらえるか、清掃後の遺品整理や不用品回収まで任せられるかを、事前にしっかり確認しておきましょう。

担当者の対応が丁寧な業者を選ぶ

特殊清掃では、当日までの連絡回数が多くないため、相手の実態を十分に把握しないまま本番を迎えることがあります。

だからこそ、問い合わせや打ち合わせの際に担当者が丁寧に対応してくれるかを必ず確認しましょう。

応対が行き届いた担当者であれば、社内教育がしっかりしていると考えられ、実際の作業も責任を持って丁寧に進めてくれると期待できます。

資格の有無を確認する

特殊清掃の作業は、資格がなくても従事自体は可能です。とはいえ、あえて資格を取得している業者であれば、一定の技術力や経験を備えていると判断しやすくなります。たとえば、次のような資格の有無をチェックしてみましょう。

  • ✅ 事件現場特殊清掃士
  • ✅ 清掃作業監督者
  • ✅ 脱臭マイスター
  • ✅ 遺品整理士
  • ✅ 古物商

 

特殊清掃のトラブルを回避するためのポイント

特殊清掃で問題を招かないために、次の2点を意識しておきましょう。

・作業のどこまでを「完了」とするかを事前に明確にしておく
・費用を抑えるためには、相見積もりにこだわるより迅速さを重視する

それぞれについて、以下で順に説明します。

業務完了の基準を確認

特殊清掃は内容が複雑で、放っておくと水掛け論になりやすい作業です。依頼者と作業員のあいだで認識が食い違うことがあるため、着手前に「どこまで終われば完了なのか」を必ず確認しておきましょう。

完了基準を明確にするうえでは、書面の見積書が有効です。作業内容がはっきり記載されていない見積もりしか出さない業者は避けるのが賢明です。

相見積もりよりも、対応が早いか

引っ越しや車の査定では相見積もりが有効ですが、特殊清掃では逆効果になる場合があります。時間の経過とともに室内の状態は悪化し、結果的に費用が膨らみやすいためです。

悪質業者を避ける配慮は必要な一方で、選別に時間をかけすぎないことも大切です。迅速に動き、スピード感をもって対応してくれる業者へ任せることをおすすめします。

 

特殊清掃は信頼できる業者へ依頼しましょう

特殊清掃は高度な技術を要するため、費用やスキルには業者ごとに差があります。依頼の場面は余裕を持ちにくい状況になりがちですが、その切迫感につけ込む悪質な業者も存在します。実績や口コミを確認しつつ、スピード感を保ちながら信頼できる業者に任せることが大切です。

自宅での遺品整理や不用品回収が必要な現場がある場合は、できるだけ早めにご相談ください。