今日からスッキリ!一人でできる“おひとりさま終活”スタートガイド
配偶者や子どもといった家族が近くにおらず、いわゆる「おひとりさま」として老後を過ごす方も、近年では決して珍しくなくなっています。ただ、そうした状況では、自分が倒れたときや亡くなった後のことについて、誰が対応してくれるのかを事前に考え、しっかり準備を進めておくことが重要です。
特に、おひとりさまの相続は、家族がいる場合と比べて手続きが複雑になったり、相続人がいない場合には遺産が国庫に帰属するなど特有のリスクがあります。そのため、元気なうちにきちんと対策を立て、終活の一環として相続の準備を整えておくことが、安心できる老後の暮らしにつながります。
この記事では、おひとりさまが知っておくべき相続の基本や、具体的な対策の方法について詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしていただければと思います。
「おひとりさま」って結局なに?
「おひとりさま」とは、一般的に配偶者や子ども、兄弟姉妹といった近しい家族が身近にいない状態で、日常生活を一人で送っている方を指します。最近では高齢化が進む中で、その数は確実に増加傾向にあり、独身の方はもちろん、兄弟のいない方、あるいは夫婦のどちらかが先立たれた後に残された配偶者なども、広い意味でおひとりさまに含まれると考えられます。
このような状況では、普段の暮らしにおけるちょっとした困りごとから、財産の管理や健康上のリスクまで、一人で抱え込むことになる可能性が高くなります。そのため、将来に向けての準備や具体的な対策を元気なうちからしっかりと考えておくことが、安心した暮らしを送るための大切なポイントとなるのです。
今さら聞けない!「終活」とは?
① 孤独死を避けるための備え
おひとりさまにとって、最も大きな不安のひとつが、誰にも看取られないまま亡くなってしまい、発見までに時間がかかる「孤独死」のリスクです。このような事態を避けるためには、日頃から地域の中で人とのつながりを意識的に作っておくことが大切です。
たとえば、地域コミュニティに参加したり、ボランティア活動に加わったりすることで、周囲の人たちとの関係を築き、万が一の際にも気づいてもらえる環境を整えておけます。また、訪問介護や見守りサービスを利用するのも有効な方法です。特に最近では、自治体が民間の見守りサービスと連携して、安否確認の仕組みを提供している地域も増えています。
自分が住んでいる地域で、どのようなサービスが受けられるのかを事前に調べておくことで、いざというときに孤立を防ぎ、安心して生活を続けられる体制を整えられるでしょう。
④ 遺言書を作成する
おひとりさまにとって、遺言書を用意しておくことは非常に大切な準備の一つです。遺言がない場合、遺産の分配は法律に従って行われますが、もし法定相続人がいない場合は、せっかく築き上げた財産が最終的に国庫へ帰属してしまう可能性があります。こうした事態を防ぐためにも、遺言書を作成し、自分の財産を大切な友人や信頼できる団体、慈善活動など、思いを託したい相手にのこせるようにしておくことが重要です。
さらに、遺言書は財産の分配内容だけでなく、葬儀の方法やペットの世話についての希望など、死後の具体的な意向を記すこともできます。こうした細やかな希望を事前に明文化しておくことで、残された人々の負担を軽減し、自分の望む形での別れを実現しやすくなるのです。
なお、遺言書を作成する際は、より確実で法的効力が担保される「公正証書遺言」の形式を選ぶことをおすすめします。作成にあたって不安がある場合や内容を整理しきれない場合は、弁護士や司法書士といった専門家に相談し、助言を受けながら進めると安心です。準備を整えることで、心に余裕を持って日々を過ごせるようになるでしょう。
⑤ 死後の手続き事務の依頼先を決めておく
人が亡くなった後には、葬儀や納骨といった大きな儀式だけでなく、入院費用の精算やクレジットカードの支払い・解約、各種契約の終了手続きなど、実に多くの事務処理が発生します。家族がいればこうした役割を自然に引き受ける場合が多いですが、おひとりさまの場合は、これらを任せられる人を事前に決めておく必要があります。
もし身近に頼める親族や相続人がいない場合でも、心配はいりません。生前のうちに「死後事務委任契約」を結んでおくことで、司法書士などの専門家や専門業者に死後の事務手続きを正式に依頼することが可能です。この契約を活用することで、亡くなった後に残された人が誰もおらず、手続きが進まないという事態を回避できます。