後悔ゼロで送り出す!遺品お焚き上げの頼み方&費用まるわかりガイド
遺品整理を進めるなかで、「もう使うことはないけれど、故人が大切にしていたものを捨てるのは気が引ける」と感じることがあります。不要ではあるけれど、思い出が詰まった品を手放すことに抵抗を覚えるのは、自然な気持ちといえるでしょう。
このような遺品に直面すると、整理作業が思うように進まなくなることもあります。どう扱うべきか迷ってしまい、手が止まってしまう方も少なくありません。
そんなときに耳にするのが、「お焚き上げをすればよい」という言葉です。遺品を供養し、感謝とともに見送るお焚き上げは、心の整理にもつながる方法です。
とはいえ、遺品整理だけでも心身ともに負担が大きいなかで、さらにお焚き上げまで行うとなると、ご遺族にとっては大きな手間となることもありますし、「お焚き上げとは何か」「どうやって依頼するのか」といった基本的な情報に触れる機会も少なく、具体的な手順が分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、遺品整理を丁寧に進めるために知っておきたい「お焚き上げ」について、その意味や流れ、依頼方法などをわかりやすくご紹介します。遺品と向き合う時間を、少しでも穏やかに、そして前向きなものにするための参考になれば幸いです。
お焚き上げとは?
お焚き上げという儀式の由来は、遥か昔の五穀豊穣を願う神事にさかのぼるとされています。古くは神社などで札や護符を火にくべ、その煙の流れによって、その年の豊作や凶作を占うという風習が行われていました。この古代の儀式が長い年月を経て発展し、現代に見られる「炎で魂を天に送る」お焚き上げという形に変化していったのです。
神道においては、火には神聖な力が宿るとされており、お焚き上げは火の神の力を借りて、故人が大切にしていた物を天に返す行為と捉えられています。つまり、単に物を燃やして処分するのではなく、その品に宿った魂を、本来の持ち主である故人のもとへ返すための儀式なのです。
このように考えると、お焚き上げとは、故人が愛用していた遺品を、現世から天界へと送り届け、あの世でもその品が大切にされ続けることを祈る行いでもあります。儀式を通じて、ご遺族が故人の冥福を静かに祈ると同時に、乱れがちな心を落ち着ける機会ともなるのです。
さらに、お焚き上げの意義は単に遺品を送り届けることにとどまらず、「捨てることに対する後悔」や「処分してしまったことへの後ろめたさ」といった、ご遺族の中に生まれがちな感情を和らげる役割も担っています。ただ手放すだけでは整理がつかない心の中の思いも、儀式を経ることで次第に整い、前向きな気持ちで新たな一歩を踏み出せるようになるのです。
このように、お焚き上げは単なる物理的な「処分」ではなく、遺された人々の心に寄り添いながら、故人との別れをかたちにしてくれる、大切な意味を持つ儀式といえるでしょう。
お焚き上げが可能な遺品と注意点
お焚き上げは、故人が生前大切にしていた品々を浄火によって丁寧に供養し、感謝の思いとともに天へ送り返す、日本古来の儀式です。現在では、さまざまな遺品が供養の対象とされていますが、すべての品が対応可能なわけではないため、依頼前に確認することが大切です。
お焚き上げが可能な遺品
まず、古い写真や手紙など、思い出の詰まった品々は、お焚き上げの対象として広く受け入れられています。これらは形としての価値以上に、心情的な重みがあるため、丁寧な供養を望まれる方が多い品目です。
また、衣類や腕時計などの身につけていた品も、故人の存在を感じさせるものとして、お焚き上げによって心を込めて見送ることができます。素材に問題がなければ、携帯電話や一部の小型電化製品も供養対象となる場合があります。
そのほか、神社やお寺から授かったお守り・お札、日本人形、仏壇や神棚などの宗教的な意味を持つ品々も、特に供養の必要性が高いとされています。とくに仏壇や神棚には魂が宿るとされているため、「閉眼供養」を行った上でお焚き上げするのが望ましいとされています。
お焚き上げが可能な遺品
- 古い写真や手紙など、思い出が詰まった品
- 衣服・腕時計など、故人が日常的に使っていた物
- 携帯電話・電化製品など(素材によっては対応可能)
- お守り・お札・日本人形など、魂が宿るとされる物
- 神棚・仏壇(閉眼供養など正式な手順が必要)
注意点
お焚き上げを依頼する際には、いくつか気をつけておきたい点もあります。
まず、燃えない素材(ガラス・金属・陶器など)でできた遺品は追加料金が発生することがあります。目安として、1品あたり2,000円程度の費用がかかるケースがあるため、事前に費用の確認をしておくと安心です。
また、宗教による供養の考え方の違いにも注意が必要です。神道や仏教では一般的なお焚き上げも、キリスト教やイスラム教では異なる儀礼が必要となることがあります。故人やご遺族の信仰に配慮し、それぞれの宗教に則った方法を選ぶことが、納得のいく供養につながります。
さらに、依頼先によって受け入れ品目や供養方法に違いがあるため、持ち込み先のお寺や神社、あるいは専門業者にあらかじめ確認することが大切です。宗教上のマナーにも気を配り、たとえば仏具を神社に持ち込むといった行為は避けるようにしましょう。
なお、遺言書やエンディングノートなどに「残しておいてほしい」という故人の意向が記されている場合には、まずその意思を最優先に尊重することが、何よりも丁寧な供養につながります。その後、どうしても整理が必要となった段階で、お焚き上げを検討するのがよいでしょう。
お焚き上げの際に気をつけたいポイント
- 金属や陶器など燃えない素材は追加費用がかかる(目安:1点あたり約2,000円)
- 宗教によって供養の考え方や方法が異なるため、信仰に合った形式を確認する
- 神社・寺院など依頼先の宗派に適した品のみを持ち込む
- 故人の遺言やエンディングノートに記載された希望があれば、最優先で尊重する
お焚き上げの依頼方法
遺品をお焚き上げで供養したいと考えたとき、どこにどのように依頼すればよいのか分からず、戸惑う方も少なくありません。現在、お焚き上げを依頼するにはいくつかの方法があり、それぞれに特徴と注意点があります。ここでは代表的な依頼方法についてご紹介します。
お寺や神社に依頼する
もっとも伝統的な方法として挙げられるのが、地元のお寺や神社へお焚き上げを依頼するケースです。遺品を直接持ち込むほか、郵送での対応を受け付けているところもありますが、まずは受け入れの有無を確認することが大切です。
近年では、環境への配慮や地域のルールなどにより、お焚き上げを実施する寺社自体が少なくなってきており、定期的な合同供養に限定して対応している場合もあります。そのため、希望する時期や遺品の種類によっては受付できない可能性もあるため、早めに問い合わせておくと安心です。
また、寺社によっては宗派や供養の考え方に違いがあるため、持ち込む品や供養の方法についても事前に相談しておくことが重要です。特に仏具や神具といった宗教的な意味を持つ遺品の場合、正しい方法で供養されるかどうかが気になる方も多いでしょう。
いずれにしても、希望する時期や対応内容については、必ず事前に確認し、マナーを守った形で依頼することが、故人への敬意を表す第一歩になります。
遺品整理業者に依頼する
最近では、遺品整理と合わせてお焚き上げを依頼できる専門業者も増えてきており、時間や手間をかけずに供養を行いたい方にとって便利な選択肢のひとつとなっています。
業者に依頼する場合は、遺品整理の作業と一括で契約し、その中にお焚き上げが含まれていることが多く、作業の流れの中で供養をスムーズに進めてもらえるという利点があります。合同供養が基本にはなりますが、オプションで個別供養を選べる業者もあり、より丁寧な対応を希望する場合には適した方法です。
ただし、業者によってサービスの範囲や供養の方法には違いがあり、個別供養を希望する場合は追加料金が発生することもあります。契約前には、どのような形で供養が行われるのか、費用はどの程度かかるのかなど、具体的な内容をしっかり確認しておくことが大切です。
遺品整理とお焚き上げの両方を一括で任せられる点は非常に便利ですが、故人や遺族の意向に沿った丁寧な供養が行われるかどうかという視点も忘れずに業者を選ぶことが、後悔のない整理につながります。