遺品のお仏壇は自分で処分できる?費用や処分の流れを解説
仏壇を処分したい理由は、遺品だが後継者がいない、引っ越しをする、またはより小さい仏壇に買い替えたいなど様々です。仏壇の処分方法は大きく分けて5つあり、それぞれに相場や対応内容が異なります。
以下は、各方法の特徴と費用相場、即日対応や運び出しの対応状況をまとめたものになります。
処分方法と相場
処分方法 | 相場料金 | 即日処分 | 運び出し |
---|---|---|---|
寺院に相談 | 1万円~10万円 | △ | △ |
仏具店に依頼 | 2万円~8万円 | ◯ | ◎ |
自治体の粗大ごみに出す | 500円~1,000円 | △ | ✕ |
不用品回収事業者に依頼 | 8,000円~2.9万円 | ◎ | ◎ |
遺品整理事業者に依頼 | 5万円~8万円(1K・1Rの場合) | ◎ | ◎ |
それぞれの方法にはメリットと注意点があるため、処分を検討する際には、対応の速さや運び出しの可否、さらには費用面を十分に比較することが大切です。自分で処分する場合もありますが、手間やトラブルを避けるために、信頼できる業者に依頼するのも一つの方法です。
1.寺院への相談
お付き合いのある寺院があれば、仏壇処分の相談先として最適です。普段のご縁がなくても、近隣の寺院で供養やお焚き上げを受け付けているところもあるため、確認してみると良いでしょう。
なお、お焚き上げには決まった期間がある場合が多いため、その時期も事前にチェックしてください。
寺院での処分は、お布施としてお支払いする形となるので、予め費用の目安を確認しておくことをおすすめします。
メリット
- 日頃からの付き合いがあるため、相談しやすい。
- 新しい仏壇の開眼供養についても相談できる。
デメリット
- 寺院側で引き取りができない場合、自身で仏壇を持ち込む必要がある。
- 場合によっては、費用が高額になる可能性がある。
2.仏具店へ依頼
仏具店に依頼する方法では、新しい仏壇を購入する際に、古い仏壇の処分を低価格で行ってくれるサービスがある場合があります。購入先の店舗や担当者に事前に確認すると良いでしょう。
メリット
- 運搬の手間を業者に任せることができるため、自分で仏壇を持ち込む必要がなく、手間が省ける。
- 新しい仏壇を購入する場合、無料や割引のサービスが受けられるケースがある。
デメリット
- 費用が思ったより高額になることがある。
- 対応する事業者を探す手間がかかる可能性がある。
3.不用品回収事業者に依頼
引越しや遺品整理など、仏壇だけでなく他の不用品も一緒に処分したい場合、不用品回収業者に依頼する方法があります。利用者の都合に合わせた処分が可能で、運び出し作業も業者が対応してくれます。
【メリット】
- 比較的低価格で処分を進めることができる
- 仏壇以外の不用品もまとめて回収してもらえるため、手間が軽減される
【デメリット】
- 信頼できる業者を探すための調査や比較に時間がかかる
- 仏壇の場合、供養は事前に済ませておく必要がある
4.自治体の粗大ごみに出す
仏壇を自治体の粗大ごみとして処分する方法も選択肢のひとつです。
まず、仏壇の縦・横・高さを測り、各自治体の規定に沿って粗大ごみ処理手数料のチケットを購入し、申し込みを行います。自治体によっては、指定された場所へ自ら持ち込むか、集積所まで回収してもらう方式が採用されている場合がありますが、どちらの場合も大型の仏壇は自分で運び出す必要があります。
また、一部の自治体では、事前に魂抜き処理が済んでいることを条件としている場合があるため、必ず各自治体のルールを確認してください。仏壇を粗大ごみとして処分することは法律上問題ありませんが、精神的な抵抗がある場合は、他の処分方法も検討することをおすすめします。
【メリット】
- 比較的安い費用で処分が可能である
- 仏壇以外の不用品と一緒に回収してもらえる場合もある
【デメリット】
- 自分で仏壇を運び出す必要がある
- 事前に魂抜き処理など、一定の条件を満たす必要がある
5.遺品整理サービスの費用相場
仏壇が置かれている部屋のみの遺品整理を依頼する場合、その部屋が1K・1R程度の広さであれば、費用の相場はおおむね5〜8万円となっています。
【メリット】
- 専門の業者に依頼することで、遺品整理にかかる時間や体力的な負担を大幅に軽減できる。
- 一度の依頼で、遺品の整理や不用品の回収、場合によっては特殊清掃など、複数の作業をまとめて対応してもらえる。
- 遺族が自力で作業する場合に比べ、精神的なストレスを抑えることができる。
【デメリット】
- 信頼できる業者を見つけるために、複数の業者の比較や調査が必要となり、手間がかかる。
- 依頼するサービス内容や地域によっては、費用が高額になる場合がある。
- 業者によってサービスの質にばらつきがあり、悪徳業者に依頼してしまうリスクも存在する。
また、「どこに遺品整理を頼めばよいのか分からない」という方のために、遺品整理業者の選び方のコツを詳しく解説した記事もございますので、ぜひ参考にしてください。
お仏壇を処分する際に注意するべき4つのポイント
仏壇の処分には、宗派や供養などと、いくつか注意するべき点があります。
処分がスムーズに進むように以下に注意点をまとめますのでチェックしましょう。
閉眼供養について
仏壇を処分する際には、まず閉眼供養、いわゆる魂抜きを必ず行う必要があります。宗派によって対応は異なりますが、仏壇は購入時に開眼供養を施され、神仏の魂が宿る場所とされているため、処分する際には感謝の気持ちを込めて閉眼供養を行い、ご先祖様にお見送りするのが基本となります。
閉眼供養は、仏壇の処分と同時に、またはその前に実施することが望まれますが、必ずしも絶対に行わなければならないものではありません。
しかし、これを行うことで、ご先祖様への感謝の気持ちを伝えると同時に、今後罰が当たるのではないかという不安を軽減し、安心して生活できるようになる場合もあります。ご自身の気持ちを整理するためにも、閉眼供養を実施されると、心の平穏を保つ一助になるかもしれません。
中身のチェック
仏壇には複数の収納スペースが設けられているため、通帳や貴重品、現金など大切なものが中に入っていることも少なくありません。処分の際には、処分するつもりでなかった大事な品が紛れていないか、しっかりと確認する必要があります。
特に、遺品整理を行う場合や、実家から引き継いだ仏壇など、自分で普段管理していなかったものを処分する際には、複数の方で念入りにチェックすることが望ましいです。
属している宗教・宗派に注意
仏壇や位牌の処分方法は、宗教や宗派によって大きく異なります。多くの宗派では、仏壇と位牌の両方に対して閉眼供養を行うのが一般的ですが、中には位牌に関して閉眼供養が不要な場合もあります。
もし自分の宗派でどのようなルールが適用されるのか不明な場合は、菩提寺やお近くの寺院に確認しておくと安心です。
親族との話し合い
仏壇を処分する際は、必ず親族と事前に十分な話し合いを行い、了承を得ることが重要です。各自の信仰や考え方によっては、処分に対して反対する意見が出る可能性もあります。
親族との十分な相談を経ずに処分してしまうと、後になってトラブルに発展する恐れがあるため、事前にしっかりと意見交換を行い、合意形成を図ることをおすすめします。
お仏壇の買取は可能?
仏壇を処分するのではなく、買取ってもらう方法も選択肢のひとつとして考えられます。
これにより、仏壇にまだ価値がある場合、その価値を活かしながら手間や費用を軽減できる可能性があります。
仏壇の買取を相談できる主な場所
仏壇の買取を相談できる主な場所
- 古美術商
- リサイクルショップ
- ネットオークション
各買取先では査定方法や条件が異なるため、複数の業者やプラットフォームを比較検討することが重要です。また、買取に際しても、供養が必要な場合は事前に確認し、宗派ごとのルールに沿った手続きを踏むことが望まれます。
古美術商
古美術商とは、古物商許可を取得した事業者が運営しており、高い美術的価値を持つ古美術品の売買を手がけています。代々伝わるお仏壇や、仏画、仏像などに美術的な価値を見出すことができる場合、こうした古美術商に相談してみるのが一案です。
リサイクルショップ
リサイクルショップによっては、仏壇を取り扱っているところもありますが、中古の仏壇や仏具は買い手が限られているため、買取が成立する例はあまり多くありません。そのため、解体して材料としてリサイクルするケースが多いようです。さらに、仏壇は繊細な作りであるため、移動中に破損するリスクもあり、運搬の手間に見合った対価を得るのは難しい場合が多いです。
オークションサイト
ネットオークションを利用して仏壇を出品するという方法も存在します。家具調の仏壇や、コンパクトで状態が良好なものは、中古でも興味を持つ方や、海外のコレクターに収集される場合があるため、全く需要がないわけではありません。しかしながら、出品後の発送や運び出しにかかる手間と費用が発生するため、手間を最小限にしたい方にはあまり向かない方法と言えるでしょう。
まとめ
お仏壇の処分は、供養の形や費用、運搬の手間など、さまざまな要素を考慮して行う必要があります。どの方法を選択するにしても、まずは閉眼供養など心の整理を行い、親族と十分に話し合った上で進めることが大切です。
各手段にはそれぞれのメリットとデメリットがあるため、ご自身の事情や信仰、処分後の生活を見据えて、最適な方法を選んでいただければと思います。